2009年10月25日日曜日

謙虚になる

謙虚さは、わたしがいちばん尊重しているもののひとつです。

「いちばん多く果実をうつける木は、地面のほうへ頭(こうべ)をたれる」

わたしが成長期のころ、父がそう教えてくれました。
いくつかの例外はありますが、わたしの経験でいえば真実です―いちばん多くを知る人、いちばん多くを達成した人、いちばんすばらしい人生を送った人が、いちばん頭をたれます。
ひとことでいえば、謙虚なのです。

謙虚な人を前にすると、なにか特別なものを感じます。
謙虚になれば、他人を敬う気持ちがあらわれますし、相手からまだまだ学ばなければいけないことを思いださせてくれます。
まわりの人びとに合図を送って、「あなたがたの知識を受け入れて、おっしゃりたいことを聞いています」というあなたの意思が伝わります。

わたしは多くの有名人に会う恩恵に浴してきました。
いちばんわくわくした機会のひとつは、ボクシングの元世界チャンピオンであるモハメド・アリにお会いしたときです。
メディアでいわれている、気どって騒がしいイメージとは違い、じかにお会いした彼はほんとうに紳士で、謙虚さを絵に描いたような人物でした。

ロサンジェルスでお目にかかったのですが、わたしが彼にきくより、彼がわたしにきいた質問のほうが多かったくらいです。
おだやかな話しぶりで、人柄をしのばせるぬくもりと品位をかもしだしていました。

モハメド・アリがわたしに教えてくれたのは、人間として大きくなればなるほど、それをあえて他人に証明する必要がなくなる、ということです。