人間がいちばん望んでいるのは、理解され、大切にされ、尊敬されることです。
しかし、わたしたちが暮らしているあわただしい日々のなかでは、人の話を聞くということは、相手が話し終わるのを待つことに過ぎない、と思っている人があまりに多すぎます。
なお悪いことに、相手が話しているあいだ、わたしたちは話の要点を整理せずに、自分がどう答えるかを考えている場合が多いのです。
時間をかけて相手の意見を理解すれば、あなたは相手のいいたいことを尊重しており、相手をひとりの人間として大切に思っていることを示せます。
話している相手の”眼球の裏に入りこんで”、相手の視点で世界を見るようにすれば、相手ともっと深く結びつくことができて、長続きする信頼関係が築けるでしょう。
耳がふたち、口がひとつ与えられていることには、ちゃんとした理由があります。
しゃべる二倍は聞きなさい、というわけです。
聞き上手になるという礼儀をわきまえれば、もうひとついいことがあります。
あなただけが話しているわけではなくなるので、学ぶことができますし、いつものように一方的にしゃべっているときには得られない情報が手に入るでしょう。
聞き上手になるためには役立つ情報をいくつかあげておきます。
*あなたが話しているとき、相手が60秒間なにもいわなければ、あなたの話を理解していない可
能性が十分にありますから、もうあまりしゃべらないほうがいいでしょう。
*相手の話をさえぎりたい誘惑を抑えてください。その前にひと息入れ、相手の話している中身に
もっと注意を払いましょう。
*適切であれば(すなわち、仕事の場で)、メモをとりましょう。
相手が話しているときにノートを取りだしてメモをとるという行為ほど、相手の話から真剣に学びた
いと思っている姿勢を伝えられるものはありません。
*相手が要点を述べたあとで、すぐにあなたの意見をいうのではなく、いま聞いたことをじっくり反
芻してください。
たとえば、「念のためにおききしますが、……ということでよろしいですか?」と、誠意をもってきけ
ば、日々の生活で出会う人びとともっと親しくなれるでしょう。